『いつ入れ代わった?』



微かな月明かりの中カタカタと音を立てる白い背を見遣る。昏闇に目が慣れたの
か、赤い痕が幾筋も浮かび上がる。生々しい筈のその爪痕は、今はキーを叩く音
に掻き消されている。

その綺麗な指はさっきまで、私を撫でていた。
まもりはベッドに肘を付きわざと大きく寝返りをうつ。空気の軋みを背中で感じ
ながら、しかし蛭魔は振り返らない。

「…ヒル魔くんのばか。」


蛭魔は何も云わない。カタカタカタカタ、カタカタカタカタ。また少し、まもり
は拗ねる。

ねぇ、無視しないで、
何か云ってよ。
何か云い返してよ、憎まれ口でも何でもイイの、

構ってよ。


「ヒル魔くんなんか、嫌い。」


カタ。手を止めた蛭魔の背が少し傾く。

「そうかよ、」
振り返らずに云う。僅かにディスプレイから目を外す。


「俺は一度もそう思った事は無ェ。」


まもりは予想外の答えに口篭る。
蛭魔は時に、まもりの欲しがる物を見せる事を全く厭わない。
カタカタカタ。いつの間にか入れ代わった彼は、再びキーボードに指を走らせる


「…ズルイ、」
まもりはシーツに顔を埋める。

「あぁ?何がだ?」
カタカタと音を立てながら蛭魔は顔を顰める。


「私だって、ヒル魔くんの事嫌いなんて、思った事無いもん。」

「たった今そう云ったじゃねェか。」

「…本気でゆったんじゃ無いもん。」


蛭魔はディスプレイに焦点を合わせたままゆっくり瞬きをする。
こんなにも容易い。
ほんの少しで良い、断片を見せてやれば、蛭魔が欲しい物は難無く手に入る。

それでも蛭魔は振り返らない。口の端を吊り上げる。


「知ってる。」




CANDYさまよりいただきました!
ひひひヒル魔ーーーーーーー!!!
まもりつんが拗ねてんすよ!やっべぇ!これやっべぇ!!(大興奮)
題名の答え、分かりましたでしょうか、みなさま。
アフター甘甘トークごちそうさまでした〜v

CANDYさんありがとうございました!


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